2026/10/25
「減った体重の25%が除脂肪量」の本当の意味
最近、
「マンジャロで簡単に痩せられる」
「マンジャロを使うと筋肉もかなり減る」
「減った体重の25%は筋肉らしい」
といった話を見かけることがあります。
でも、この説明には少し注意が必要です。
今回の結論を先に言うと、
マンジャロなどを使った大きな減量では、
脂肪だけでなく除脂肪量も減ることがあります。
ただし、
除脂肪量が減った=その全部が筋肉
ではありません。
さらに、
筋肉が少し減った=筋力も同じだけ落ちる
とも限りません。
そしてもう1つ大切なのが、
マンジャロは、健康な人が気軽に使う「痩せ薬」ではない
ということです。
1.そもそもマンジャロって何?
マンジャロは、
チルゼパチド
という成分を使った薬です。
日本では、
2型糖尿病の治療薬
として使われています。
同じチルゼパチドでも、
肥満症の治療薬としては、
ゼップバウンド
という別の薬があります。
つまり、
「チルゼパチドには体重を減らす作用がある」
ことと、
「誰でもマンジャロを痩せるために使っていい」
ことは別です。
かんたんに言うと
マンジャロは
“ダイエットサプリ”
ではなく、病気の治療に使う薬です。
2.なぜ「痩せ薬」として知られているの?
マンジャロには、
食欲を抑えたり、
食べる量を減らしたりする作用があります。
そのため、
大きく体重が減る人もいます。
この体重減少効果だけが強く注目されて、
SNSなどで、
「痩せる注射」
のように紹介されることがあります。
でも、
痩せる効果があることと、
健康な人が美容目的で使って安全であることは、
同じ意味ではありません。
3.「減った体重の25%が筋肉」は本当?
ここが今回の大きなポイントです。
チルゼパチドを使った研究では、
減った体重のおよそ、
75%が脂肪
25%が除脂肪量
だったと報告されています。
これを見ると、
「じゃあ、減った体重の25%は筋肉なんだ」
と思いやすいですよね。
でも、
これは正確ではありません。
4.除脂肪量=筋肉ではない
「除脂肪量」とは、
簡単に言うと、
体の中の脂肪以外の部分
です。
その中には、
-
筋肉
-
水分
-
臓器
-
その他の組織
などが含まれています。
つまり、
除脂肪量が5kg減った
からといって、
筋肉が5kg減った
とは言えません。
かんたんに言うと
「脂肪じゃないものが減った」ことは分かる。
でも、その全部が筋肉だったとは分からない。
ということです。
5.では筋肉は全く減らないの?
それも違います。
除脂肪量の中には筋肉も含まれるため、
大きく減量すると、
筋肉の一部が減る可能性はあります。
実際に、
筋肉の大きさを直接測った小さな研究では、
大腿部の筋肉が小さくなった例もあります。
なので、
「全部筋肉」でもない
し、
「筋肉は全く減らない」でもない
というのが正確です。
6.筋肉が減ったら、筋力も同じだけ落ちる?
これも、
必ずしもそうではありません。
筋肉の大きさが少し減っても、
筋力が維持されることがあります。
なぜなら、
筋力は、
筋肉の量だけで決まるものではないからです。
たとえば、
-
神経の使い方
-
動きの技術
-
筋肉の質
-
疲労
-
体重
なども関係します。
かんたんに言うと
筋肉の大きさと、力の強さは関係するけれど、まったく同じものではありません。
7.体重が減ると動きやすくなることもある
体重が大きく減ることで、
-
歩きやすくなる
-
階段が楽になる
-
立ち上がりやすくなる
-
膝や腰への負担が減る
こともあります。
なので、
少し筋肉が減っていても、
身体の動きは良くなる場合があります。
ここでも、
「筋肉量だけ」で良い・悪いを判断するのは難しいということです。
8.逆に「筋力が落ちてないから安心」でもない
これも注意が必要です。
一部の小さな研究では、
筋肉の大きさが減っても、
筋力が保たれた例があります。
でも、
これだけで、
「誰でも長期間、筋肉の心配はしなくていい」
とは言えません。
特に、
-
高齢者
-
もともと筋肉が少ない人
-
食事量がかなり少ない人
-
運動習慣がない人
-
フレイルがある人
などでは、
筋肉や筋力を守ることがより大切になります。
9.食欲が落ちすぎることもある
マンジャロなどを使うと、
食欲がかなり低下することがあります。
その結果、
体重は減っても、
必要な栄養まで十分に取れなくなることがあります。
たとえば、
-
タンパク質
-
ビタミン
-
ミネラル
-
脂質
-
総エネルギー
などです。
筋肉を維持するには、
食べる量だけではなく、
何を食べているか
も重要です。
10.「どんどん体重が落ちる=成功」ではない
体重が速く減れば、
見た目では順調に見えるかもしれません。
でも、
-
食べられない
-
強い疲労がある
-
筋力が落ちる
-
日常生活がしんどい
-
栄養不足が起きる
ような状態なら、
「たくさん痩せたから成功」
とは言えません。
減量は、
体重だけを見るものではありません。
11.マンジャロは副作用のない薬ではない
マンジャロでは、
-
吐き気
-
嘔吐
-
下痢
-
便秘
-
腹痛
-
食欲低下
などが起こることがあります。
さらに、
まれでも注意が必要な副作用として、
膵炎や胆のう・胆管のトラブル、
腸閉塞のような問題などもあります。
嘔吐や下痢が続けば、
脱水につながることもあります。
かんたんに言うと
「痩せる効果がある薬」ではありますが、
「気軽に使ってよい薬」ではありません。
12.健康な人が美容目的だけで使うのは?
ここは今回、特に伝えたい部分です。
医学的に治療が必要な人では、
体重を減らすことで、
健康上の大きな利益が期待できることがあります。
その場合は、
薬のメリットとリスクを比べながら、
医師の管理のもとで治療します。
でも、
健康な人が、
「あと3kgだけ痩せたい」
「夏までに細くなりたい」
という理由だけで使う場合は、
話が変わります。
得られる医学的な利益が小さいのに、
薬の副作用や栄養不足などのリスクは残るからです。
13.「医師にもらえれば何でもOK」でもない
大切なのは、
単に薬を手に入れられるかどうかではありません。
本来は、
その人に本当に治療が必要なのか
を判断することが大切です。
マンジャロは、
日本では2型糖尿病の治療薬です。
「痩せたいから」
という理由だけで使うための薬として
承認されているわけではありません。
14.SNSや個人売買で手に入れるのはさらに危険
正規の医療機関や薬局を通さずに、
SNSや個人売買で薬を手に入れるのは、
さらに危険です。
中身が本物か分からない、
正しく保管されていない、
成分量が違う、
という可能性もあります。
薬は、
「同じ名前が書いてあれば同じもの」
とは限りません。
15.では、減量治療中に何を見ればいい?
薬を使って減量する場合でも、
体重だけではなく、
-
筋力
-
筋肉量
-
日常動作
-
食事量
-
タンパク質摂取
-
疲労
-
筋トレ
なども一緒に見ることが大切です。
16.筋トレはやっぱり大切
減量中に筋肉や筋力を守るためには、
筋力トレーニングが大切です。
特に、
食事量が減っているときほど、
筋肉に刺激を与えることには意味があります。
もちろん、
体調や治療状況によって、
できる運動は変わります。
無理をして高強度運動をする必要はありません。
17.栄養も同じくらい大切
筋トレをしていても、
食事が極端に少なければ、
筋肉を守るのは難しくなります。
特に、
-
タンパク質
-
総エネルギー
-
ビタミン・ミネラル
などが不足していないか、
確認する必要があります。
薬だけで体重を減らすのではなく、
食事と運動もセットで考える
ことが重要です。
18.今回の研究で分かっていること
「マンジャロなどで大きく減量すると除脂肪量も減ることがある」
→ 概ね確認されています。
「減った体重の25%が全部筋肉」
→ 違います。
「筋肉の大きさが減ったら筋力も同じだけ落ちる」
→ 必ずしもそうではありません。
「筋力が落ちなければ筋肉のことは考えなくていい」
→ まだ分かっていません。
「マンジャロは健康な人も気軽に使える痩せ薬」
→ そのような薬ではありません。
19.まだ分かっていないこと
これからさらに研究が必要なのは、
-
長期間使ったときの筋肉への影響
-
筋力への影響
-
高齢者ではどうか
-
もともと筋肉が少ない人ではどうか
-
どんな筋トレが最も効果的か
-
どれくらいの栄養が必要か
-
薬による違い
などです。
20.今回の結論
マンジャロなどを使った大きな減量では、
脂肪だけでなく、除脂肪量も減ることがあります。
でも、
「減った体重の25%が除脂肪量」
=「筋肉が25%減った」
ではありません。
一方で、
「全部筋肉じゃないなら心配しなくていい」
ということでもありません。
筋肉・筋力・栄養は、
体重とは別に確認する必要があります。
そして、
マンジャロは、誰でも簡単に使える“痩せ薬”ではありません。
結論まとめ
「減量薬で除脂肪量が減る」
→ 概ね支持されている
「除脂肪量が減った分は全部筋肉」
→ 誤解を招きやすい
「筋肉が少し減れば、筋力も同じだけ落ちる」
→ そうとは限らない
「筋力が維持されていれば筋肉管理は不要」
→ まだ分からない
「マンジャロは健康な人でも気軽に使える痩せ薬」
→ 正確ではない
最後に一言でまとめるなら、
「どれだけ痩せたか」だけではなく、
“何が減って、身体がどう変わったか”を見る。
そして、
薬は、痩せるための近道としてではなく、
必要な人が医療管理のもとで使う治療手段として考える。
これが今回のテーマで最も大切なポイントです。
